……隠していたのに、なぜそこを?

春の夜や、隠し事ゆかし、車内の隅。

ナイロンの交編に脚を通す朝の儀式は、私にとって胸の高まる大切なとき。
真冬の代表格だった黒から、鉛色のチャコールへ、そして、いま、私の脚を彩るのはクリアベージュ。
8デニールのベールに包み込まれるこの季節を、私は心待ちにしていました。
重く閉ざされていた肌を解き放ち、風に揺れる桜のようにしなやかで、身軽になりたかったのです。

「なぜ、下着を着けずに?」

そう問われても、はっきりとした理由なんてありません。
日中の柔らかな日差しと、春の訪れを告げる夜風が、私の肌にその「自由」を許したのです。
ただ、それだけのことでした。

今朝、パッケージから出したばかりのベビーベージュを装って、下着も着けず、軽い足取りで出社したのです。
過度な露出を抑えるため、足元はロングブーツに。
ミニのサイドスリットから覗く肌は、ちょっとした冒険心の証しなのです。

やがて、陽は傾き、退社の時間。
日中の暖かさが残るアスファルトの上を、乾いた風が吹き抜ける中、私は心地良い夕風に身を委ねながら駅へと向かいました。
啓蟄を過ぎると、夜道には、様々な虫けらたちが姿を現します。
それは、春の訪れとともに蠢く、闇に紛れた存在たち。

混雑する車内。
太腿の裏側に何かが触れているのです。
触れるか触れないかの、微妙なタッチが、8デニールの交編を伝って脚全体に行き渡ります。
人の指だと確信した時には、すでに、スカートの奥へと侵入していたのです。

スリ、スリ、ススス……

すべすべとしたナイロンの上を、虫けらの這いまわる音が、微かに聞こえています。
朝露が残る新緑の葉の上で、くねくねと体をのたうつような不気味な動きに、不覚にも私の呼吸は乱れ始めていました。
太腿の内側の付け根にかけての領域を、少なくとも5匹の虫けらが行ったり来たり…
やがて、最も敏感なストッキングのマチの上で、体を波打つと、その刺激が電流のように下半身を駆け巡ります。

キュッ、キュッ、キュゥゥ……

本能が締め付けを繰り返し、体内から熱い露が、じわりと滲み出してきます。
夜の乾いた空気に触れてもなお、再び、新鮮な露が表面に浮かび上がってくるのです。
もう、言い逃れできない痕が、ナイロンの表面に出来ているはず。

下着を着けていないという事実を、虫けらたちは悟ってしまったのでしょうか、
湿り気を帯びたその場所を、自らの遊び場のようにして、好き勝手に跳ね回ります。
時折差し込むLED照明に照らされて、マチの表面に成長した翡翠の玉が、青白い光を放っています。

くちゅ、くちゅ、ぷちゅん……

玉の源泉の奥から、いまにも溢れそうな夜露のうぶごえが聞こえてきます。

今更、電車を乗り換えても、逃げ場など在るはずありません。
私のスカートの奥に寄生した虫けらたちが再び蠢き出すのです。
車両の片隅で、その微かな音に心震わせながら、私は思ったのです。

「清々しい春の陽気が、私の心を解き放ち、自由にさせてくれた」
「ただ、それだけだったはず……隠していたのに、なぜそこを?」

本作品に登場する人物は18歳以上である事を確認しております。

作品に登場する人物はモデルであり、同意の上で撮影を行っています。

本作品は説明文や作品内のテロップを含め全てシチュエーション作品です。

※現場の秘匿性を優先しているため、一部を無音化処理しています。

・アスペクト比: 2720×1158(2.35:1 シネマスコープサイズ)
・本編:18分23秒

kakushiteitanoni_18min.mp4 – 2.2 GB